Introducing the Autumn-Winter 2026 Collection
Impulse, Springing Up 湧き上がる衝動
縄文の文化に、強く惹かれる。
縄文時代は、1万数千年前から約1万年にわたり、日本において狩猟採集を軸にした生活が続いた時代である。
縄文の人々は同じ土地に長く住み、森、海、川などと関係を結びながら生きた。
島国の日本は、複雑な地形をもち、四季がある。
縄文の人々は、変化し続ける環境を受容し、そこでは常に、生と死、人と自然、意図と偶然が呼応していた。
そうした世界と共存しようとした痕跡が、縄文時代に生み出された造形のなかに、
爆発的なエネルギーとして刻まれている。
おおらかで力強く、大胆に隆起し、いきいきとうねる造形。
未分化で、荒々しい生命の痕跡。
表層的な意味や単なるシンボリズムを超え、世界の力がかたちとして現れ出た結果なのだろう。
それは、“日本の美意識”として語られがちな、簡素で静謐なミニマリズムと大きく異なる。
そう、私たちの源泉には、もうひとつの日本が眠っているのだ。
私の奥底にも、確かにある。
おのずと湧き上がる、抑えきれないほどの衝動。
調和を阻む、野性的な情熱がそれを突き動かす。
強烈で、ダイナミックで、アバンギャルド。
私にとってそれは、時代や作為を超えた、普遍的な感覚だ。
今もなお私たちに内在するものと、TAAKKのものづくりの基軸。
そのあいだに生まれる親和を、衣服として表現したのが、今回のコレクションである。
洗練された佇まいの奥には、衝動が滲む。
ミニマルな骨格は、目を凝らすほどに複雑な表情が帯びる。
日常着のなかに、かすかな違和感が潜む。
その不協和が力強さとして立ち上がる。
かたちは、意図が支配するのではない。
職人たちの手の動きや力の加減、針先に伝わる素材の抵抗や揺らぎ。
そうした痕跡が刻まれることで、ある種の制御から解き放たれ、さらに強靭な存在となるのだ。
過去を再現することでも、原初を神話化する懐古主義でもない。
私たちの奥底に眠る感覚を、現代のものづくりとして引き上げる試みである。
現代を揺さぶる試みである。
LEATHER MATERIALS / EMBROIDERY TECHNIQUES
レザーアイテムは、一見すると重厚で力強い佇まいを持ちながら、近づくと驚くほど繊細で柔らかな表情を見せます。
使用しているのは、私たちが食として向き合っている和牛の副産物である和牛革。
シープのような柔らかさとしなやかさを備えた素材だからこそ、細く裁断した革を折り込み、重ね、縫い留める立体的な表現が可能になりました。
強さと繊細さ、重量感と軽やかさが、一着の中で静かに共存しています。
本コレクションにおける刺繍は、素材の違いを超えて、「衝動がかたちとして立ち上がる過程」そのものを衣服の表面に刻んでいます。
図案をなぞる装飾ではなく、職人の手の動きや力の強弱、針先に伝わる素材の抵抗に導かれながら、反復と揺らぎを伴って形成される刺繍。
意図がすべてを支配するのではなく、偶然や歪みを受け入れることで、かたちはより強い存在感を獲得します。
GRADIENT FABRICS
グラデーションファブリックは、TAAKKの革新性を象徴する素材表現です。
今季は、縦糸をコットンにしても、素材そのものを別の素材へと**実際に変化させる**技術が可能になりました。
不要な光沢を排し、よりナチュラルな質感の中で、コットンはウールへ、ウールはナイロンへと段階的に移行していきます。
異なる素材が一着の中で連続的に置き換わり、素材の境界は静かに溶けていきます。
これらの表現に共通するのは、素材を誇張することでも、意味づけを押しつけることでもありません。
すでに存在しているもの、内在しているものを引き受け、制御と偶然のあいだで衣服として立ち上げること。
それこそが、
TAAKKのものづくりの基軸です。
